日本人受刑者に会う。

radical-do2011-09-09

 友人をニノイアキノ空港に見送った後、時間が空いたので、日本の戦犯として山下大将も処刑されたというムンテンルパ刑務所に行ってきた。

 今も、フィリピン中から無期懲役囚を含む極悪犯罪人が集められ、収監されているところだ。

 ビジネスパートナーのファミリーのひとりの遠い親戚が収監されているということで、中に入れることになった。

 いろいろな手続きで1時間強待たされた後(その間、銃を撃ってきた)、差し入れのジュースやお菓子を買い、カメラや携帯諸々預けて、厳重なボディチェックを受けて中に。

 入り口から、オレンジ色のTシャツを着た受刑者が出迎えてくれて、日傘をさして案内してくれたり、チップが欲しいのか(金はすべて外に預けたが)、珍しい日本人だからなのか気持ち悪いほどの歓迎ぶり。

 そして、主に凶悪犯が中心に収監されているエリアへ。まさか中に入れるとは思ってもいないし、ビシビシと受刑者の視線を感じるし、看守の姿もないので、ビビりまくりながらも無理に笑顔を作って歩いた。房の中に入ると、テレビを見ていたり、トランプしてたり、いろいろと作業してたり、食事してたり、仲間でダベってたり、寝てたりと、かなり自由な雰囲気。でも、受刑者の顔つきを見ると、やはり悪人面してて怖い。聞けば、殺人犯からレイプ犯、窃盗、強盗、詐欺、麻薬、売春、政治犯まで様々。二桁殺した凶悪殺人犯やムスリムの暗殺団サッグのメンバーもいた。でも、皆笑顔で話してくれる。

 房のリーダーらしき男(殺人犯)が、収監されている日本人のひとり、UEZUさんを連れてきてくれた。沖縄出身の人で、もう14年も収監されているという。罪状は人身売買。現地人にハメられて、知らぬ間に犯罪人にされ、言葉もわからず裁判を受けて、大使館も助けてくれず、懲役40年の判決を受けて無理矢理収監されたという日本人が陥る典型的パターンだ。今はUEZUさんの他に4人の日本人受刑者がいるという。

 今や流暢なタガログ語を話すUEZUさんは、コーヒーやタバコをふるまってくれ、刑務所の現状や今後のことなどを丁寧に説明してくれた。彼は、希望を捨てずに、まめにアキノ大統領に嘆願書を送り、恩赦を求めているという。「フィリピンはとても面白いところであるとともに、とても恐ろしいところです」という言葉が印象的だった。

 刑務所の中には、商店も、食べ物屋も、ジムも、タトゥーショップも(ほとんどの囚人がタトゥーをしている)、カラオケも、公園も、シャバで揃うものはたいていある。奥さんも中に入れ、泊まっていけるそうで、刑務所というよりは、隔離された小さな村みたいなものだ。看守は少ないので、それぞれの房にリーダーとなる自治会長みたいな受刑者がいて、他の受刑者を管理しているようだ。縄張りやギャンググループもあるし、囚人同士の争いで消されることもしばしばらしい。しかし、UEZUさんの「金さえあればここは天国です」という言葉通り、房のトップに近くなれば、タバコはもちろん、酒やドラッグ、娼婦まで手に入るそうだ。

 外国のテレビの取材班が外から撮影していたが、メディアではなく、一般の、犯罪に縁もゆかりもない(?)日本人が中に入るなんて、とってもいい経験をさせてもらった。短い期間の体験収監ならまだいいが、異国の地で無実の罪で何十年も収監されるなんて、考えただけでも空恐ろしい。確実に届くらしいので、今度、UEZUさんに手紙を書こうと思う。受刑者が作ったハンディクラフトをいくつか買って、外からチップをはずみ刑務所を後にした。

住所は以下↓

HIGAGAAY UEZU

DORM 3A,MAXIMUM SECURITY COMPOUND
BUREAU OF CORRECTIONS
MUNTINLUPA CITY,PHILS

 

参考↓ 
http://www.fujitv.co.jp/nonfix/library/2004/435.html
http://plaza.rakuten.co.jp/tarsan/diary/200902130000/