素敵な熟女と飲む。

乳がんを患ったという素敵な熟女と飲む。

丸山ワクチンを打っても、思ったほどの効果はなく、
来週早々、ついに乳房全摘出手術を受けるという。
「最期になるかもしれないので、その前に食事でも」
と誘ってくれたのだ(涙)。


オレの知人で、すでにふたりが乳がんで亡くなっているから、
どんな対応をすればいいのか、戸惑ったが、
じっくりと彼女の話しを聞いてあげる事にする。


彼女は、オレと同じ年代なのだが、すでにシングルマザー。
子どもは今や女子大生で、その娘もシングルマザー。
そんな娘が家出してしまい、今も連絡がつかない話しから、
実の親に裏切られた話し、自暴自棄になって睡眠薬を60錠飲んだ話し、
毎日のように飲み歩いて、胃から肝臓、膵臓、胆のうまで、全ての臓器を患った話し、
仕事に打ち込む過ぎて、月に1回は過労で倒れていた話し、
呼吸ができなくて、あちこちで倒れていた話し、


いやー彼女は強い。冷静にさばさばして、他人事のように話してくれた。
しかし、凄まじい人生です。
人って、会って話さないとわからないものだ。



で、オレ。日頃の自分を隠さず曝け出す。これこそ自然体。
イタい連中みたく、変に同情したり、慰めたりは、決してしないし、
そんな嘘を並べたら、頭の良い彼女はすぐに見透かしてしまうだろう。


「死ぬときゃ死ぬんだ。あきらめろ」
「死ぬ前に一発やらせて」
「胸のしこりを揉ませて」
「死がわかったら知らせて。その気分を聞きたいから」
「今日を思い出にする?迷惑だよ。オレは、つねにいろんな女に目移りしているからね」
「病院は大嫌いだから、見舞いなんか行かね〜よ」
「死に至るまでの日記を書いて」
「死んだら、幽霊になって出てきてね」

と、悪に徹する。しかも、彼女に全額おごらせた。


今日ばかりは、人殺しも辞さない過激派に「ファシストよりも最悪な、悪の頂点を極めた極悪の反革命」と名指しで殲滅宣言されたヨセフ同志を超えたよ。
オレもステキな悪魔になった。



悪を倒すには、より巨大な悪である、というように、
彼女の巨乳に巣食った悪のがんを、オレの悪で殲滅する勢いであった。
きっと彼女は、元気になって復帰するだろう。巨乳ひとつしかないけど。



彼女は、オレの悪態に感動して、目がうるうる、きらきら。
男を蹴落として仕事に徹してきたバリバリのキャリアウーマンも
オレ様の前で、確実に「女」になった。
最初は暗かった彼女にも笑顔が戻った。



カバンの中にはコンドームも入っていたし、
彼女の「私、帰ってもネコだけだし。。。一人だし、寂しい。。。」との言葉にも、
「元気になったら抱いてやる、おっぱいひとつしかないけど」なんて、ムラムラしながらも、
ちゃーんと、彼女のマンションまでタクシーで送って行ったのであった。
うん、うん、紳士だな。



しかし、人生は理不尽である。
ウチの会社の役員ども、無能豚3人や生きる価値なしのババアどもが、のうのうとずうずうしく生きてて、
何で、この業界に多大な貢献をしている彼女が病に犯されるのだ。
ちくしょー



オレも健康診断なんて10年近く受けていない。
ときどき、あちこち不調になるが、
もしかしたらと自分の体が怖くもなった。
彼女はさばさばしててとっても強いのに、
オレは実はチョービビリの情けない男である。




2ヶ月後、また飲もうぜ!!